北欧雑貨・スカンジナビアの木工職人 手づくりの商品をメインに北欧の暮らしを楽しむお店【スカンクラフトハウス】
     
  北欧雑貨・北欧の暮らし・セレクトショップ【SCAN CRAFT HOUSE】エッセイ
スカンジナビア在住:Homma Export <Chie>が日本の裏側、北欧からお届けする「エッセイ」です。
  
 
   
■Lucia (ルシーア)
 
「♪サン タァールゥーシィーア、サンタ〜ルシア〜♪」という曲を、知ってらっしゃる方、多いんではないでしょうか?日本では、大体 中学校ぐらいの教科書に出てくるこの曲も、ここスウェーデンでは、毎年12月に入ると、みんなの口ずさむ歌のひとつになります。
  
 
   
12月13日は、聖・ルシア(スウェーデン語では“ルシーア”)の日。500年程前までは、この日が“一番 夜の長い日”とされていて、「3回目の朝食を食べて、やっと夜が明ける」とまで 言われていた程です。現在、その日は、12月21日の“冬至の日”に移りましたが、「いつまで経っても 外が真っ暗」というのは、みんなの心を沈ませてしまうものです。
まぁ、物は考え様で、その日が“一番暗い”という事は、その日から、また夏に向けて、だんだんと明るくなっていくんですよね。それを、私達に気付かせてあげようと、やって来てくれるのが、サンタ・ルシアなんです。

 
Lucia(ルシア)の名前は、ラテン語のLux(光)から来ていると、いわれています。その名前の通り、彼女は“光を司る人”というイメージで、今では定着していますが、昔は、いろいろと誤解されていたようです。
4世紀初めにイタリアに住んでいたルシアは、かなり熱心なキリスト教信者だった為、まだ 古い神々が信仰されていた ローマ皇帝の時代では、それだけでも、かなり罪な事だったようです。そのルシアが、結婚の為にと 母親からもらった持参金を、全部 貧しい人達に分け与えてしまい、それを知った婚約者が憤慨して 彼女を告発し、12月13日に、ルシアは処刑されてしまいました。
 
処刑をする際にも、ルシアの身体が、石のように重くなって動かせなかったり、油をかけて焼こうとしても燃えなかったりと、いろんな不思議な事が起こった為、人々は怖がり、後々、変な噂を立てられるようになりました。

 
「あんな現象が起こるなんて、あれは、きっと魔力の仕業に違いない。そういえば、Luciaの名前って、悪魔のLuciferに似ているなぁ…。そっか、彼女は女悪魔だったんだ!」という風に、人々の想像は、止まる事を知らずに膨らんでいきました。挙句の果てには、「ルシアの処刑された12月13日には、悪の力がよみがえる」とまで言われ、みんな 仕事も休み、子供を家にかくまって、恐れながら、その日を過ごしていたそうです。
 
そういう噂も、年月を重ねるごとに薄れていき、いつの間にか、ルシアは“美しい瞳の持ち主の、清純な聖女”というイメージと、摩り替わっていました。

それでは、“スウェーデン風・ルシーアの日”について、ご紹介しましょう。
この日は早朝から、長く真っ白な衣装に 赤いリボンのベルトをつけたルシアが、頭に数本のロウソクを灯した冠を被って、みんなの所に光を届けてくれます。この格好を聞くと、大抵の日本人は、どうしても 「八つ墓村の祟りじゃ〜!」という言葉を頭に思い浮かべてしまうんですが、実際は、もっと綺麗ですヨ!
 
ルシアの他にも、付き添いの女の子や 星の妖精君達も、ゾロゾロと付いて来て、みんなで美しいコーラスを歌ってくれます。その歌を聴きながら、ルシア達が持って来てくれた、サフラン入り菓子パン(lussekatt)や 香辛料のタップリ入った 薄焼きクッキー(peppakaka)を食べるんです。
その時、定番の飲み物は、glogg(グリョッグ)。赤ワインに、これまた 沢山の種類の香辛料を入れて暖めたもので、レーズン&皮を剥いたアーモンドをコップに入れて、一緒に飲みます。香りがきついので 苦手な人もいるようですが、飲んでみると、とっても美味しくって、身体も芯からポカポカと温まってきます。
 
 
今では、伝統行事の一つとなっている、この日も、スウェーデンでの歴史は意外と短く、1927年にストックホルム新聞社が主催で、ルシアを募集し、コーラスをしたのが きっかけとなって、全国で“ルシア選考”ブームに火が付きました。それ以来 毎年、全国、各地方、学校、会社など、いろんな所で、それぞれのルシアを選ぶための“美人コンテスト”が開かれるようになりました。
ルシアの発祥の地、イタリアでは、この日の行事が、一時期 廃れていたんですが、スウェーデンで大々的に祝われ始めたのを知り、慌てて、また 取り上げられるようになったそうです。もともと 黒髪だったルシアも、こちらで人気の 金髪美人の姿に変わって、逆輸入しているとか…。
 
  
清楚で美人のルシアもいいですが、私は、“ちびっこ・ルシア”が大好きです。
学校行事の少ないスウェーデンでは、このルシアの日が 唯一の父兄参観の日。幼稚園の子供達も この日を とても楽しみにしていて、毎日 歌の猛特訓。暇さえあれば、口ずさんでいます。
当日は、不公平をなくす為に、女の子は みんな 主役のルシアの格好、男の子は 星の妖精や、何故か サンタさんや“クッキーおじさん”の格好をして、ちょっぴり緊張顔で 整列。恥ずかしがって、小さな声で 囁くように歌う子や、はりきり過ぎて 大きな怒鳴り声で歌う子…。いろんな 可愛らしい声が混ざり合って、とっても素敵なハーモニーが 奏でられます。
 
暗く、寒い冬の朝に、ちびっこ・ルシアちゃん達が、一生懸命、運んできてくれる 暖かい“光”に照らされて、参観に来ている お父さんやお母さんの心も、明るく、温かくなっていくのです。
 
 
 
<もみの木 ちえ>
 
 

 
   
■Advent(アドベント)

 
みなさんは、“北欧”と聞いて、どんな事をイメージされるのでしょう。冬の夜空に輝く 美しいオーロラですか?それとも、白夜についてですか?
私の住んでいるスウェーデンでは、夏の間、なかなか太陽が沈まず、日が長い、白夜が体験できます。その期間、太陽は、沈んだと思ったら また昇り、夜だと思えば、また朝で…の繰り返しで、休む暇もありません。北の方では、一日中、“太陽が昇りっぱなし“という時期もあるので、どれだけ、お日様が多忙なスケジュールをこなしているのか、ご想像できますでしょうか?
 
その分、冬は 太陽にとって、ホリデイ・シーズン。夏の間、一日中 照らしてあげていた地域では、逆に、一秒たりとも 顔を出してはくれない時期もあります。その他の地域でも、太陽の勤務時間は、冬の間、グンッと短くなります。朝の10時頃に、「やっと、明るくなり始めたなぁ…」と思ったら、お昼の3時頃には、辺りは真っ暗 なんて事も、日常茶飯事。
そんな 暗〜くて、寒〜くて、長〜い冬を、スウェーデンの人達が、どうゆう風に、楽しく、明るく、乗り切っているのかを、これから 数話に分けて、みなさんに ご紹介していきましょう!
 
 
 
 
 
 
 
スウェーデンの冬一番のビック・イベントといえば、なんと言っても“クリスマス”。大人も子供もみんな、その日をとっても心待ちにしていて、クリスマスまでの日を、毎日 指折り数える為の小道具が、たくさんあります。
そのひとつが、“クリスマス・カレンダー”。12月1日から、24日まで、毎日一つずつ開けていく物で、いろんな形のが出回っています。大きな台紙に付いてある、24個の小さな窓の中に、それぞれ、チョコレートの入っているものもあれば、宝くじになっているもの、いろんな絵が書いてあるもの、など様々です。
 
我が家では、大きなサンタ・クロースの刺繍が入った壁掛けに、24個の小さなプレゼントを付けたものを、毎年使っています。プレゼントの中身は、いろいろで、お菓子の日もあれば、子供達の喜びそうな小物が入っていることもあります。
 
子供達は、「サンタさんが、用意してくれたプレゼントを、ママが、一個一個 吊るしてくれたんだ!」と信じており、毎年、12月が近づくと、「今年もサンタさん、忘れずに、持ってきてくれるかなぁ…」と心配そう。その度に、忘れん坊の私は、慌てて、サンタさんからのプレゼントを受け取るために、街を さまよい歩くのです。
 
   
 
その他にも、テレビやラジオでも、全24話のお話が、毎日放送されたりして、“クリスマス・カレンダー
なるものは、手を変え 品を変え、「今日は、何日であるのか!」という事を、私達に知らせてくれます。日に日に、明るい時間が短くなってきて、皆の心も沈みがちな時に、ポッと 小さな光を灯してくれるのが、“advent ljusstake(アドベント・ユーススターケ)”。
 
クリスマスから数えて、4週間前の日曜日になると、みんな 一斉に、7本のロウソク型電気が付いた 山形キャンドル・スタンドを、各窓の窓辺に 灯し始めます。最近では、クリスマスツリーの形や、星型のランプまであり、この時期には、住宅街を散歩するのが、とても楽しくなります。
殆んど 一日中、窓辺のランプを点けておくとなると、どうしても、目に見えてしまうのが、窓の汚れ。その為、多くの家では、ランプを飾る前に、家中の窓を磨き終えてしまいます。ついでに、カーテンを付け替えたり、窓辺に新しい花を飾ったりと、こぎれいにして、気分も新鮮に!
 
このキャンドル・スタンドを 最初に出す日曜日を、“第1アドベント”と 呼びます。この日から、4本並んだロウソク ”adventjus(アドベント・ユース)“を、毎週日曜日に、一本ずつ ロウソクの数を増やして、灯していきます。
火の点いたロウソクの数が増えるにしたがって、クリスマスが近づいている事が実感できるので、その光を見ては、子供は喜び、大人は焦りと、皆それぞれの形で、心 狂わせるものです。
キラキラと輝くロウソクの火は、とっても暖かく、きれいなんですが、毎年、この時期には、火事が増えるので、気を付けないといけませんね。ここで一句。「アドベント、ウットリするより、火の用心!」
 
<もみの木 ちえ>
 

   
■森の恵み

 
国の半分が、森で覆われている、ここスウェーデンには、自然を 普段の生活に取り込むのが、とっても上手な人達で溢れています。
特に、スウェーデンはユニークで、「自然は、みんなの物!」という考え方が基本。「誰の土地であろうと、森の中には、みんな自由に入って、木の実やキノコ、花や枯れ木を取ってもいいし、お泊りもOKよ!」というのが、法律《Allemansratten (アッレマンス・レッテン)》でまで、決められているぐらいです。だから、夏になると、みんな長靴を履いて 籠を持ち、自然の恵みを求めて、森に出かけます。
 
 
   
 

7・8月は、ブルーベリーの時期。特に、摘みたてのは、甘くて、みずみずしく、とっても美味しいの!だから、子供達は、籠に摘んで集めるよりも、口の中にほおりこむ量の方が圧倒的に多く、口の中も周りも、ブルーベリーの色 一色に染めて、結構、迫力のある顔に…。しかも、ブルーベリーの汁は取れにくいので、その後、何日も、舌の色を見ては、ブルーベリーの余韻を楽しめます。
 
摘んで、持って帰ったブルーベリーは、お砂糖とミルクをかけて、そのまま食べるのも良し、パイやケーキなどに使うのも良し、冷凍保存して、冬に真夏の味を味わうのも、また風流でいい物です。その他、保存食として、ジャムにしたり、濃縮ジュースにしたりと、使い方はいろいろです。
 
余談ですが、こっちでは、ブルーベリー&ラズベリーを、一緒に煮込んだジャムの事を、“Drottning sylt(女王様のジャム)”と、言います。「何で、こうゆう名前が付いたんだろうねぇ?」と、5歳になる息子と話していたら、息子は「それは、女王様の事が大好きな王様が、女王様の為に作ったからだよ!」と、自信満々に答えていました。
 
普段から、パパが台所に立っているのを見慣れているから、“王様が料理をする”なんて発想が出てくるんだなあ…と感心したものです。この子も将来、自分の選んだプリンセスに、ジャムを作ってプレゼントするのかな?!
 
ブルーベリーの季節が終わると、今度は苔桃の番。苔桃は、その名の如く、苔がよく生えているような所に出来ます。ブルーベリーと違い、硬くて、すっぱいので、そのまま生で ガブガブと食べれるものではありません。
 
タップリのお砂糖と一緒に、グツグツと煮込んで作った とろとろの苔桃ジャムは、お肉料理にとても合います。こっちに来て、すぐは、「ゲッ、なんで お肉の横に、赤いジャムが付いてるのよ!」と、気味悪がって、食べなかったけど、自分で森に行って、苔桃を摘むようになってから、食べてみると、以外と美味しい事に気付きました。特に、ミートボール&マッシュド・ポテトの時には、欠かせませんね!
 
木の実の生る、日当たりのいい、明るい森とは逆に、木がぎっしりと生えて、湿った土地の森には、夏から秋にかけて、いろんな種類のキノコが、たくさん見つけられます。
何百種とあるキノコの中でも、美味しく食べれるのもは数少なく、毎年、毒キノコによる死亡者も出ています。毒キノコの中でも、特に有名なのが“flugsvamp(フルーグ・スヴァンプ)”。これは、テレビゲームの“スーパーマリオ”に出てくる、赤地に 白い水玉模様のキノコです。初めて、このキノコを目にした時は、あまりの可愛らしさに ウットリしてしまったほど。
食用キノコの中で、人気ナンバー1なのは、“kantarell(カンタレール)”。日本語名は、“あんずだけ”といって、日本では幻のキノコなのだそうです。
 
色は黄色と、目立ち易そうな色なんですが、サイズが小さく、なかなか見つけ難いキノコです。でも、一個見つけたら、その周りに集まって生えているので、収穫も大!細かく切って、バター炒めしたカンタレールを、トーストの上にのせて食べるのが、最高に贅沢な食べ方です。
 
キノコ探しは、宝捜しのように、スリルと満足感が充分に味わえ、その上、美味しい物がゲットできるので、たくさんの人が、森に出かけていきます。
 
でも、秋のある一定期間は、森に入ると命取りになる期間があるんです。その事については、また次回にお話しましょうね。イッヒッヒッ…。

 
 
<もみの木 ちえ>


 

   
■リンゴのなる庭
 
先日、工芸職人さんの一人、Maj-Brittoさんとミーティングしている最中に、彼女から突然 面白い質問をされました。「ねぇ、日本の人は、スウェーデンに来たら、あまりの人の少なさに、寂しさを感じるって聞いたけど、本当?」もう10年以上も、スウェーデンに住んでいる私には、その感覚がわからなかったんだけど、人口密度 世界第3位の日本から、ヒョイッとこっちに来たら、そう感じるのかもしれませんね。なんてったって、日本はスウェーデンより 一回り小さいにもかかわらず、人口はこっちの15倍。何処に行っても、人・人・人。
 
それに比べて、スウェーデンでは、電車の本数が 少ないにもかかわらず、車内はガラ空き。空っぽで走っているバスを 見かける事も度々です。高層マンションも無ければ、車の渋滞も無く、見渡す限り 緑の世界。このぽつねんとした中に入って、カルチャーショックを受けるのも、無理ないことでしょう。でも、人恋しくなるほど、人数が少ない所には、それなりの利点も あるんですヨ。人口が少なければ少ないほど、下がってくるのが土地の価値!腐るほど敷地のあるスウェーデンでは、土地も有り余っていて、都会を除けば、土地の値段はあって、無いようなもの。広〜い庭付きの一軒家や、別荘などを手に入れる事も、そう遠い夢ではなく、多くの人が、何らかの家を持っています。
 

 
   
大抵の家や 別荘の庭には、木の実やフルーツの木が 植えてあります。一番ポピュラーなのは、“りんごの木”。こっちの気候に合っているのか、とても育て易く、言葉どおり 唸るように生るんです。毎年、収穫シーズンの最初の方は、「わぁ!自分の庭で リンゴが取れるなんて、夢みたい!素敵!」と 眼の中に星を浮かべて 感動し、毎日せっせと、ケーキやパイ、ジャム作り、ジュース絞りにと、精を出しています。
 
…が、リンゴちゃん達の成長は止まる事を知らずに、毎日、大きなダンボール一箱分ずつ、ボトボトと 熟し落ちていくのです。「これでもか、これでもか!」と、容赦なく リンゴが落ちてくる日々は、シーズン初期のパラダイスから、一気に“りんご地獄”へと転落。秋口には、悲壮な顔をして「ねぇ、りんご貰ってくれない?」と、会う人 みんなに聞いて回ります。それでも、処分し切れなかったリンゴは、森に持って行って、鹿やムース君達におすそ分け。大きなゴミ袋、数袋分のリンゴの山も、置いておくと、一つ残らず 無くなります。代わりに、残っているのは、いろんな種類の足跡。まるで、動物達が集まって、“りんご・パーティー”を開いていたかのよう…。
 
 
   
   
この苦労は、収穫シーズンが終われば、解放される訳ではありません。全ての実が落ちたら、今度は、枝切り。これは、本格的に冷え込む前に、しなくてはならないのです。春先にしても良いんですが、せっかく 芽吹いてきたものを切るのは、ちょっと心が痛むので、私達は あえて、秋にするようにしています。
冬の異常に長いスウェーデンでは、その他のシーズンは非常に短く、秋なんて、ほんと 「あっ!」という間に 過ぎ去っていってしまいます。「ちょっと、肌寒くなってきたなぁ…」と思うや否や、木々は一斉に パパパッ!と紅葉し、バババッ!と落ちていってしまうので、紅葉を楽しめる期間は、ほんの一瞬。枝切りの作業も、この一瞬の間にしなくちゃいけないので、大急がしです。
 
 
   
   
枝を切るのは、リンゴの木だけに限らず、洋ナシ、ラズベリー、さくらんぼう、プラム、すぐりの木々、そして、その他の花の木も、この時期に切っていきます。切った後も、寒さに弱い花(バラ、アジサイなど)の周りは、牛さんのウンチで囲って、-30℃にまで下がる 厳しい寒さに耐えれるように、暖めてあげるのです。切り終わって 集めた枝や、落ち葉は、また土の姿になって活躍できるようにと、森に持っていきます。大抵の家と同様、我が家にも、腐葉土を作る為の大きなコンポストが置いてありますが、庭に落ちる 葉っぱの量は莫大で、とてもじゃないけど、入り切らない…。車一杯に詰め込み、何往復もして運びます。
 
冬の前にしなければいけない 庭仕事はたくさんありますが、芝生だけは例外。ほっておいても 耐えれるみたいで、冬の間も、雪の下から きれいな緑色の芝生が チラホラ見えてきます。これって、よっぽど 芝生が強いっていう事なのかなぁ…?!それとも、ただ単に、緑色のまま カチンコチンの凍結状態になっているのかしらん?!
 
<もみの木 ちえ>
 
 

 

 
■ムースの気持ち
 
みなさんの中で、スウェーデンに来はった事のある方は、お土産屋さんとかで、黄色い三角の中に、大きな鹿みたいな動物の 黒いシルエットが入ってる 交通標識のマークを、見た事があるはずでしょう。その動物こそが、この僕。ムースなんです!
 

 
 
 

 
ここ、スウェーデンでは、みんな 僕らの事をAlg(エリィエ)と呼ぶんやけど、その他にも、“森の王様”とかいうネックネームまでつけてもらって、ちょっと良い気分。
日本語では、“大角鹿”とかいう、舌噛んでしまいそうな名前が付けられてるそうです。まぁ、その名前の通り、確かに、僕ら オスには、大きな角が付いてまっせ。でも、これも、毎年、冬に抜けたり、春に生えたりと、なかなか 忙しいもんなんですわ。
 
大きいのは、角だけやおまへんで。“ヨーロッパ最大の陸上哺乳動物!”と呼ばれるだけあって、身体の大きさには自信がありますわ。
体重は、大体 300〜500kgぐらいです。でも、仲間の中で、ほんまに大きい奴は、900kgまで いっとるのもおりまんなぁ。背丈は、大きめの馬と比べて、一回りぐらい大きい、っていう感じですかな。脚はスラーと長く、自分でも、結構 スタイル ええほうやと思うんやけど、どないです?

 
ずっと昔の話やけど、 人間は 僕らの先祖を、戦の時に乗る動物として、飼い慣らそうとした事もあったらしいですわ。自分で言うのも なんやけど、僕ら、身体が重いわりには、結構 走るんも早いし(56km/h)、泳ぎも得意。乗り心地も なかなかのもんです。おまけに、見た目も迫力があるから、「外国人はビックリして、逃げよるやろう」と、人間は考えたんかも知れへんなぁ。
でも、あの「パーン!」という大きい音は、いつ聞いても心臓が飛び上がるぐらい怖くて、こっちが逆に 逃げてばっかりいたから、最後には、人間も諦めてくれたみたいです。
 

今は、そうゆう仕事からも開放されて、他にする事があらへんから、仲間の数ばっかり 増えてきてしまいましたわ。今、スウェーデンに在住届が出てる分だけ見てみたら、ざっと 30万頭ぐらい居ります。数が増えたら 増えた分だけ、収拾もつかなくなってきて、場所移動の時に、右も左も見んと、道路に飛び出したりする、無茶な仲間も増えてきました。
 

 
   
普通の車とぶつかった時、ちょうど、僕らのひざの辺りにバンパーが当たるから、そのまま身体ごと、車の上に乗り上げてしもうて、運転手の所まで、吹っ飛ぶ事が多いんですなぁ。僕らの この巨体が、走ってきた車と衝突した時の衝動の大きさ…。恐ろしすぎて、想像したくもないわ。

   
だから、そんな酷い事故を防ぐ為にと、森に沿った道路には、人間が柵を立てるようになりました。一部では、柵の代わりに、僕らの嫌いな 狼のオシッコを撒いて、僕らが来んようにしてる所もあります。でも、オシッコの臭いなんて、何日か経ったら消えてしまうし、それでなくても 数が少ない狼のオシッコを集めるのは、人間にとって、かなり大変らしく、そんなに効果はありまへんわ。

   
あんまり、ムースの数が増えたら、人間も 落ち着かなくなるみたいで、毎年、秋に行われる“ムース狩り”で、僕らは“数調整”とやらを されます。その数も、10万頭と半端じゃなく、大体 3頭に1頭分ぐらいの割合ですかねぇ。
それだけの数のムースを撃つには、それなりの人数が必要らしく、ムース狩りの始まる10月の第2週目は、会社も、工場も空っぽになって、株の動きも鈍るらしいですわ。その代わり、森には 鉄砲を持って、耳を澄ませた猟師が、どっか こっかに 潜んでいるから、関係のない人間は、むやみに森をうろつかへん方が身の為でしょう。

   
こっちは、生きるか死ぬかの、大変な時期やと言うのに、人間の中には、ムース狩りを 社交の場と勘違いしてる人らもおるらしく、なんや、みんな集まって、楽しそうにしてはるわ。スウェーデンの王さんまでもが、この時期には、鉄砲抱えて、いそいそと 森に出かけて行くって言うから、こっちは たまったもんやないで。
そうゆう風に、莫大な数のムースを片付けに来るかと思ったら、僕らの仲間の一匹が、うっかり流氷に乗って、沖に出てもぉた時には、お金ぎょうさん使うて、ヘリコプターで助けてくれたりするし…。人間の考えてる事って、さっぱり 分からんなぁ。
 
<もみの木 ちえ>
 
 
 
 
       
 
 
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